販売管理システムを用いて工業製品の商品情報管理を行う際の難しさについて詳しく解説しています。
工具卸向け販売管理システム5選
この記事では、工具卸向けの代表的な販売管理システムと、その他の販売管理システムとの違いについて、解説します。
日本国内で“工具卸向け”または“機械工具卸売業”を対象業種に含む、代表的な販売管理/卸売業向けパッケージシステムを5つ紹介します。
工具卸向けの販売管理システム 5選
工具卸(機械工具・部品工具など)を主な対象とした販売管理システムは、それぞれ工具業界の特性(型番が多い、仕入先・顧客ごとの価格差、在庫管理の精度、ロット・荷姿管理、EDI/データ連携など)に対応できることが重要です。以下に、日本国内で“工具卸向け”または“機械工具卸売業”を対象業種に含む、代表的な販売管理/卸売業向けパッケージシステムを5つ紹介します。いずれも基本的にはオンプレミスのシステムとなっています。
システム名 | 提供/開発会社 | 主な特徴・強み |
---|---|---|
機工メイト | 株式会社ブロードリーフ | 工具商社向けデータベースを持ち、検索性・履歴参照に優れる。Trusco/NaITOなど外部マスタ連携にも対応。 |
機工マスター | 株式会社日本アルシス | 機械工具業界に特化した販売管理トータルシステム。見積~受発注~売上・仕入~在庫・棚卸まで一元管理。歩引・セット品・違算・オートFAXなどのオプションも豊富。 |
アラジンオフィス | 株式会社アイル | 汎用ERPをベースに、工具卸向けに型番検索・得意先別単価・在庫管理などを追加可能。 |
楽商 機工ACE | 株式会社日本システムテクノロジー | 機械工具・資材など卸業界に特化。見積・受注・発注・仕入・売上までの一元化。 |
GrowOne 販売情報システム | 株式会社日立システムズ | 卸売業・商社業向けパッケージ。受発注・販売・仕入・在庫を統合。業種テンプレートで機械工具業にも対応可能。 |
工具卸向けに特有な機能の特徴
① 型番・品番管理の精度と柔軟性
工具業界では「同一製品でも型番がメーカーごとに微妙に異なる」「末尾記号でサイズ違い・表面処理違いが大量に存在」します。
そのため、部分一致検索(前方一致/中間一致)・複数キー検索(型番+メーカー名など)に強い設計が必要です。通常の販売管理システムでは「完全一致検索」しかできず、業務効率が著しく低下します。
② 仕入先・得意先ごとの価格差・掛率設定
工具卸は同一商品でも取引先・数量・キャンペーンごとに掛率・単価が異なることが多いです。
そのため、複数段階の価格マスタ(標準価格・得意先別・得意先グループ別・キャンペーン価格など)を持つ設計が必要となります。一般的な販売管理では「単一商品=単一単価」で管理しており、柔軟性が不足します。
③ 在庫・入荷・ロット・荷姿管理
工具・部品は小口在庫が多く、入数(箱単位・バラ単位)や荷姿(パック・カートンなど)を同時に管理する必要があります。また、輸入品や刃具などではロット・シリアル・在庫ロケーションも管理することが多いです。
通常のシステムでは「単位=1個」前提でしか扱えないケースが多く、誤差が生じます。
④ メーカー・商社マスタの多層構造
工具卸は「仕入先(メーカー・商社)」「製品ブランド」「取扱代理店」など階層構造が複雑です。
そのため、ブランド階層(例:TRUSCO→YAMAWA→タップ)などを持つ多層マスタ構成を前提としたPIM的設計が必要です。
一般的な販売管理では「1取引先=1マスタ」の単層設計が多く、ブランド横断分析が難しいです。
⑤ 商品カタログ・EDI/FAX連携
工具業界では依然としてFAX・EDI・カタログ注文が主流です。
そのため、FAX OCRやカタログコード入力、Trusco/NICE-NET/モノタロウAPI連携などが求められます。一般的な販売管理はWeb受注中心設計のため、FAXやOCRに標準対応していません。
⑥ 見積・リピート履歴・代替提案
工具卸では「前回と同じものをもう一度」「このメーカーが欠品だから代替品を提案」などが頻繁に発生します。よって、過去見積・売上履歴参照/代替品マスタ連携機能が重要です。
通常の販売管理では「過去注文再利用」程度の履歴参照機能しかないケースが多いです。
⑦ トラスコ・ナイスネットなど外部マスタ連携
日本の工具流通では「Trusco」「NaITO」「Yamasen」などの大手マスタとの整合性が不可欠です。
工具卸向けシステムでは、商品マスタの自動更新・CSVインポート・掛率連動などに対応しています。通常システムはこうした外部マスタ前提の構造を想定していません。
⑧ ハンディ端末・倉庫出荷連携
倉庫出荷時のピッキング、棚番照合、バーコード検品をハンディ端末で行う現場も多いです。工具卸向けシステムは、これら現場機器との連携を標準装備することが多いです。
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