エクセルを用いて工業製品の商品情報管理を行う際の難しさについて詳しく解説しています。
商品情報の管理方法:現状と課題トップ3
この記事では、工業製品における商品情報の管理方法の現状について詳しく解説しています。また、現状のシステム構成や運用に伴う課題トップ3についても説明しています。
中小・中堅企業の例
商品情報の管理者:通販営業やホームページ担当の総務
中小・中堅企業では商品情報を専任で管理する人はいないケースが多いです。そのため、普段の業務で商品情報を取り扱う必要のある担当者が管理しています。例えば、社内にモノタロウ、アスクル、楽天、ヤフーなどの通販で販売がある会社では、そのチャネルを担当している営業が商品情報を管理しています。また、ホームページに取り扱い製品を掲載している場合、メンテナンスを担当している総務が商品情報を主管してることもあります。
品番、価格:販売管理システム
品番、価格については、販売管理システム、基幹システム、受発注管理システム(OMS:Order Management System)などのシステムで管理していることが多いです。販売管理システムについて、業界特化型のオンプレミスのパッケージシステム(工具卸:機工メイト、機工マスタ、塗料卸:スーパー塗料など)、業界横断で提供しているパッケージシステム(商奉行、Smile Vなど)、開発ベンダーに依頼してカスタムしたシステム(FutureOneなど)などが利用されています。
スペック:エクセル
スペック(数字、テキスト)、文章(特徴、用途、注意事項)などはエクセルでの管理が多く見られます。品番、品名の列に続いて、スペックや文章を並べていきます。1メーカー1カテゴリごとにシートを分けて管理する場合もあれば、全てのメーカー、カテゴリ横断で1シートで管理する場合もあります。2007年以降のバージョンのエクセルでは、行数:1,048,576 行、列数:16,384 列(A ~ XFD)、古いバージョンでは、行数:65,536 行、列数:256 列(A ~ IV)が上限となります。
画像:イントラサーバー
代表画像や寸法図などの画像はイントラサーバーで管理していることが多く、まれにハードディスクでの管理も見られます。画像ファイル名には品番と連番を組み合わせて記載し、どの品番の画像かの紐付けを行っています。エクセルとサーバー内の画像フォルダいずれも個人個人で管理していることが多く、誰がどこに何の情報を保管しているかを会社全体として把握できているケースは少ないです。
大企業の例
商品情報の管理者:商品管理部
中小・中堅企業とは異なり、横串機能として商品部、商品管理部、商品企画部などの部署が存在し、商品情報を管理しています。
品番、価格:基幹システム
品番、価格については、基幹システム(ERP)で管理しています。製造業系の中ではSAP(エスエーピー、、独製)の利用が増えています。背景には国際会計基準(IFRS)への対応や、海外子会社とのシステム統合や現地スタッフの利用のしやすさなどがあります。
スペック、画像:商品情報管理システム
スペックや画像はパッケージの商品情報管理システムかカスタマイズして作って対応するケースが見受けられます。中小・中堅企業と同様にエクセルやイントラサーバーでの管理もまだまだ多いです。
商品情報管理の課題トップ3
バラバラなマスタ
品番、価格は販売管理システムまたは基幹システム、スペックはエクセル、画像はイントラサーバーという形でマスタがバラバラになっています。さらにエクセルや画像に関しては担当者ごとに作成してることがあり、誰が何を持っているかを把握できていない状況です。結果として、必要な情報を探すのにかなりの時間を要し、また、持っている情報すら持っていないと判断し、メーカーや関係者に問い合わせてしまい、社内外の人に負担を強いることも多々発生します。
膨大な転記
メーカーの紙カタログやPDF、FAXやメールで届く価格改定表などアナログな媒体からエクセルに転記し情報を整理します。その過程で膨大な手入力作業が発生します。結果として、日頃の営業時間に処理できず、残業や土日での対応を強いられるケースも少なくありません。
未デジタル化
システム構成と手入力の運用によって、商品情報のデジタル化は遅々として進んでいないというのが多くの製造メーカー、卸、販売店で起きていることです。取り扱える商品全体を100としたときに90%以上は未デジタル化という企業が大多数を占めています。結果、バイヤーによるネット検索が一般化した今多くの機会損失が発生している企業とデジタル化の波に乗って引き合い/売上を伸ばしている企業とが二極化しています。