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大手通販への提案の仕方:元モノタロウトップバイヤーが語る成功の秘訣

 

元MonotaRO(モノタロウ)のトップバイヤーである弊社、曲馬昭雄(現monolyst株式会社 関西統括)が大手B2B通販会社への効果的な提案方法について解説します。

大手通販会社の概要と特徴

B2B(企業間取引)通販で主要とされるのは、MonotaRO、ASKUL、MISUMIの3社です。これらの会社は、Amazonや楽天のような「モール」ではなく、販売店として自社で商品を販売している点で異なります(Amazonは自社販売も行っている)。

会社名 メイン商材(入り口) 主なユーザー層
MonotaRO
工具・MRO(間接資材) 製造業・工事業
ASKUL
文具・事務用品 病院・介護・学校
MISUMI
FA機器(ファクトリーオートメーション)

機械・電気・電子関連の製造業

大手通販会社に「刺さる提案」の秘訣

B2B通販会社では、一つの商品を大量に売るのではなく、多くの商品を一つずつ売ることで売上を積み立てるECの特性があります。そのため、一つの商品の安さだけでは刺さりにくく、いかに多くのSKUを提案できるかが重要になります。

提案に必要な3つの情報と資料

提案を成功させるためには、以下の3つの視点から現状を把握し、優先順位をつけた提案資料を作成することが求められます。

  1. 市場の現状把握(市場規模とシェア率)

    • 提案する商品の市場規模(例:5000億円か10億円か)を提示する。
    • その市場において、どのメーカーがどれくらいのシェア率を取っているかを提示する。
    • 市場占有率が高いトップメーカーから提案することで、売上アップのチャンスが高まります。
  2. メーカーのSKU全体像の把握

    • 提案するメーカーが全体でどれだけのSKUを保有し、そのうち通販会社がどれだけ取り扱っているかを明確にする。
    • これにより、採用によるポテンシャルや、通販会社が労力(工数)に対してどれくらいの売上を見込めるかを判断しやすくなります。
    • 以下、考え方の例です。

      メーカー 売上高 (市場) シェア率 (市場) メーカーSKU数 (全体) MonotaRO取扱SKU数
      A 1,500億 30% 10,000 5,000
      B 1,000億 20% 20,000 15,000
      C 500億 10% 500 5
      D 250億 5% 800,000 0
      E 250億 5% 1,000 800
      F 200億 4% 20,000 1,800
    • 特に、未採用SKU(例:Aメーカーの残り5,000SKU)は誰も提案していないため、一番手になれるチャンスがあり、採用される確率が上がります。
  3. 自社の現状把握(流通構造と売上構成比)

    • 自社がメーカー・一次卸・二次卸など、どの立ち位置にいるかを伝え、流通構造をお互いに把握する。

    • メーカー直に近いほど、より良い条件(価格など)で提供できる優位性を提示します。

    • 自社の売上構成比(どのメーカーの売上構成が高いか)を提示し、自社がどのメーカーや商材に強みを持っているかを把握してもらう。

価格交渉と高価格の提案

価格交渉は基本的に「指し値」では受け付けておらず、相見積もりの形式を取ることが多いです。

競合他社より価格が高い場合は、以下の点を考慮して提案します。

  • ロット数・販売数:競合が1本で売っているなら、10本のロットで提案するなど、販売数やロット数で条件を差別化する。

  • 納期:価格が多少高くても、納期を短縮できる(例:当日配送体制が整っている)場合は、売上アップにつながるため採用のチャンスがあります。

商品提案に必要なデータと資料

商品提案の際は、通販会社側が用意したエクセルのフォーマットに商品情報を手入力(転記作業)で記入する必要があります。また、ネット通販においては、商品画像(手で取るような感覚で情報がわかるもの)も非常に重要な要素となります。

中長期的な関係構築に必要なこと

バイヤーと中長期的な信頼関係を築くためには、以下の点が重要です。

  • スケジュールと約束の順守:どのメーカーのSKUをいつまでに提案するかというスケジュールを立てて、その通りに提案する。

  • 積極的なコミュニケーション:スケジュールが守れなかった場合でも、連絡を途切れさせず、コミュニケーションを取る。

  • 有益な情報と新しい提案:挨拶ではなく、「法改正の情報」や「他社が取り扱いを始めた情報」といった有益な情報、またはスケジュール外の新しいメーカーの提案(「100SKUをいつまでに提案したい」など)を定期的に行う(2週間に1回〜1ヶ月に1回程度)。

  • 返信が遅い理由:バイヤーは非常に多忙で、毎日6時間商談をしたり、膨大なSKUの管理と新規採用を行っているため、メールには目を通しているものの、登録作業に時間がかかり、返信まで1ヶ月程度待っていただくケースも多いです。せっつかずに程よい距離感を保つことが推奨されます。

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