この度、monolyst社では、1名〜1000名以上の幅広い従業員規模の企業47社に対してFAX業務実態に関するインタビューを実施しました。そこで見えてきたFAX受注業務の実態と課題を解説します。
大手通販への提案の仕方:元モノタロウトップバイヤーが語る成功の秘訣
元MonotaRO(モノタロウ)のトップバイヤーである弊社、曲馬昭雄(現monolyst株式会社 関西統括)が大手B2B通販会社への効果的な提案方法について解説します。
大手通販会社の概要と特徴
B2B(企業間取引)通販で主要とされるのは、MonotaRO、ASKUL、MISUMIの3社です。これらの会社は、Amazonや楽天のような「モール」ではなく、販売店として自社で商品を販売している点で異なります(Amazonは自社販売も行っている)。
会社名 | メイン商材(入り口) | 主なユーザー層 |
---|---|---|
MonotaRO |
工具・MRO(間接資材) | 製造業・工事業 |
ASKUL |
文具・事務用品 | 病院・介護・学校 |
MISUMI |
FA機器(ファクトリーオートメーション) |
機械・電気・電子関連の製造業 |
大手通販会社に「刺さる提案」の秘訣
B2B通販会社では、一つの商品を大量に売るのではなく、多くの商品を一つずつ売ることで売上を積み立てるECの特性があります。そのため、一つの商品の安さだけでは刺さりにくく、いかに多くのSKUを提案できるかが重要になります。
提案に必要な3つの情報と資料
提案を成功させるためには、以下の3つの視点から現状を把握し、優先順位をつけた提案資料を作成することが求められます。
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市場の現状把握(市場規模とシェア率)
- 提案する商品の市場規模(例:5000億円か10億円か)を提示する。
- その市場において、どのメーカーがどれくらいのシェア率を取っているかを提示する。
- 市場占有率が高いトップメーカーから提案することで、売上アップのチャンスが高まります。
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メーカーのSKU全体像の把握
- 提案するメーカーが全体でどれだけのSKUを保有し、そのうち通販会社がどれだけ取り扱っているかを明確にする。
- これにより、採用によるポテンシャルや、通販会社が労力(工数)に対してどれくらいの売上を見込めるかを判断しやすくなります。
- 以下、考え方の例です。
メーカー 売上高 (市場) シェア率 (市場) メーカーSKU数 (全体) MonotaRO取扱SKU数 A 1,500億 30% 10,000 5,000 B 1,000億 20% 20,000 15,000 C 500億 10% 500 5 D 250億 5% 800,000 0 E 250億 5% 1,000 800 F 200億 4% 20,000 1,800 - 特に、未採用SKU(例:Aメーカーの残り5,000SKU)は誰も提案していないため、一番手になれるチャンスがあり、採用される確率が上がります。
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自社の現状把握(流通構造と売上構成比)
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自社がメーカー・一次卸・二次卸など、どの立ち位置にいるかを伝え、流通構造をお互いに把握する。
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メーカー直に近いほど、より良い条件(価格など)で提供できる優位性を提示します。
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自社の売上構成比(どのメーカーの売上構成が高いか)を提示し、自社がどのメーカーや商材に強みを持っているかを把握してもらう。
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価格交渉と高価格の提案
価格交渉は基本的に「指し値」では受け付けておらず、相見積もりの形式を取ることが多いです。
競合他社より価格が高い場合は、以下の点を考慮して提案します。
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ロット数・販売数:競合が1本で売っているなら、10本のロットで提案するなど、販売数やロット数で条件を差別化する。
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納期:価格が多少高くても、納期を短縮できる(例:当日配送体制が整っている)場合は、売上アップにつながるため採用のチャンスがあります。
商品提案に必要なデータと資料
商品提案の際は、通販会社側が用意したエクセルのフォーマットに商品情報を手入力(転記作業)で記入する必要があります。また、ネット通販においては、商品画像(手で取るような感覚で情報がわかるもの)も非常に重要な要素となります。
中長期的な関係構築に必要なこと
バイヤーと中長期的な信頼関係を築くためには、以下の点が重要です。
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スケジュールと約束の順守:どのメーカーのSKUをいつまでに提案するかというスケジュールを立てて、その通りに提案する。
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積極的なコミュニケーション:スケジュールが守れなかった場合でも、連絡を途切れさせず、コミュニケーションを取る。
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有益な情報と新しい提案:挨拶ではなく、「法改正の情報」や「他社が取り扱いを始めた情報」といった有益な情報、またはスケジュール外の新しいメーカーの提案(「100SKUをいつまでに提案したい」など)を定期的に行う(2週間に1回〜1ヶ月に1回程度)。
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返信が遅い理由:バイヤーは非常に多忙で、毎日6時間商談をしたり、膨大なSKUの管理と新規採用を行っているため、メールには目を通しているものの、登録作業に時間がかかり、返信まで1ヶ月程度待っていただくケースも多いです。せっつかずに程よい距離感を保つことが推奨されます。
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