BtoB商材の通販における画像管理の大変さと根本的な解決方法
本記事では、BtoB商材の通販における画像管理の大変さと根本的な解決方法について解説します。
第1章 なぜBtoB商材の画像管理は難しいのか
BtoB商材は、BtoCと比べて商品点数が圧倒的に多く、しかも仕様違いやサイズ違いなどの「バリエーション」が多い。外観がほぼ同じでも、寸法や規格番号が違うだけで別商品として扱われるため、1点ずつ正確に画像を紐づける必要がある。
また、建材や工具、部品といった業界では「見た目では違いが分かりにくい」ため、画像が果たす役割は年々大きくなっている。
さらに、紙カタログ中心だった時代からEC・デジタルカタログへと流れが進む中、画像が“商品の顔”となり、取引先やエンドユーザーにとっての信頼要素にもなった。つまり、画像管理は単なる作業ではなく、販促と信頼を支える基盤業務なのである。
第2章 画像ファイル名に品番を入れる大変さ
多くの卸商社では、画像ファイル名に品番を含めるルールを設けている。しかし、メーカーごとに品番体系が異なり、記号・ハイフン・全角半角の違いが入り混じるため、単純なリネームでは済まない。
さらに、画像ファイル名に特殊文字(/、#、空白など)が使えない場合もあり、Excelやスクリプトで一括変換しても例外処理が多発する。
膨大な商品点数を扱う商社では、ファイル名の整備だけで数週間を要することもある。こうした課題は、AIによる画像認識やマスタ連携で自動命名するなど、構造的な自動化が求められる領域だ。
第3章 品番と画像を紐付けて管理する大変さ
商品1点に対して代表画像、寸法図、使用例、パッケージ画像など複数の画像が存在する場合、それらをどのように品番と紐づけるかが難題となる。フォルダ分けやExcel管理では、すぐに破綻する。担当者しか分からないフォルダ構成やファイル命名が横行し、他部署から検索できない状況も多い。
こうした課題を解決するには、PIM(Product Information Management)やDAM(Digital Asset Management)といった仕組みを導入し、商品マスターと画像データを一元的に連携させる必要がある。特にBtoB商社では「品番=軸」の設計をいかに明確化するかが肝となる。
第4章 メーカーから画像をもらえない現実
理想的にはメーカーから正式な画像データを提供してもらうことが望ましいが、現実はそう簡単ではない。メーカー側は著作権やブランド管理の観点から画像提供を制限することが多く、また、BtoB取引では「画像提供は優先度が低い」とされるケースが多い。そのため、商社が自らメーカーサイトやPDFカタログから画像を切り出して整備することが日常的になっている。
しかし、この方法では解像度や背景色、サイズ比率が統一されず、結果的にEC上で不揃いな印象を与えてしまう。標準化された画像提供の仕組みが業界全体で求められている。
第5章 画像へのキャプション・加工編集の負担
画像をそのまま掲載できることは少なく、ECサイトやカタログ用途に合わせて加工が必要になる。サイズの統一、トリミング、透過処理、背景削除、さらには「用途」「特長」などのキャプションを入れるケースも多い。これらの作業を人手で行うと膨大な時間とコストがかかる。
加えて、販促媒体ごとにフォーマットや解像度が異なるため、同一商品画像を複数バージョンで管理しなければならない。AI画像生成や自動レイアウトツールの導入が進みつつあるが、品質管理と著作権の観点で慎重な運用が求められる。
第6章 画像管理の属人化と運用崩壊のリスク
画像管理が担当者依存になりやすいのは、命名ルールや保存場所、加工方針などが明文化されていないためである。属人化が進むと、担当者の異動や退職によって画像資産がブラックボックス化し、再利用が困難になる。結果として、同じ画像を再取得・再加工する“二重作業”が発生し、コストが積み上がる。
この問題を防ぐには、ルール策定とシステム運用をセットで整備することが重要だ。PIMやDAMにより、誰が見ても同じ基準で画像を扱える環境を構築することが、長期的なデジタル基盤整備の第一歩となる。
第7章 PIM×DAMによる根本的な解決策
これらの課題を根本から解決するには、商品マスターと画像を統合管理するPIM×DAMの導入が有効だ。品番・仕様・カテゴリなどのマスター情報と、画像・動画・CAD図面などのデジタル資産を紐付けて一元管理できる仕組みである。
また、monolystのような新世代PIMでは、メーカー提供画像の自動取得、AIによる命名や分類、メディア別最適出力なども可能となり、従来の手作業を大幅に削減できる。BtoB卸商社が「データの流通スピード」で差をつける時代において、画像管理のDXはもはや避けて通れないテーマだ。