元MonotaRO(モノタロウ)のトップバイヤーである弊社、曲馬昭雄(現monolyst株式会社 関西統括)が大手B2B通販会社への効果的な提案方法について解説します。
B2B(企業間取引)通販で主要とされるのは、MonotaRO、ASKUL、MISUMIの3社です。これらの会社は、Amazonや楽天のような「モール」ではなく、販売店として自社で商品を販売している点で異なります(Amazonは自社販売も行っている)。
会社名 | メイン商材(入り口) | 主なユーザー層 |
---|---|---|
MonotaRO |
工具・MRO(間接資材) | 製造業・工事業 |
ASKUL |
文具・事務用品 | 病院・介護・学校 |
MISUMI |
FA機器(ファクトリーオートメーション) |
機械・電気・電子関連の製造業 |
B2B通販会社では、一つの商品を大量に売るのではなく、多くの商品を一つずつ売ることで売上を積み立てるECの特性があります。そのため、一つの商品の安さだけでは刺さりにくく、いかに多くのSKUを提案できるかが重要になります。
提案を成功させるためには、以下の3つの視点から現状を把握し、優先順位をつけた提案資料を作成することが求められます。
メーカー | 売上高 (市場) | シェア率 (市場) | メーカーSKU数 (全体) | MonotaRO取扱SKU数 |
A | 1,500億 | 30% | 10,000 | 5,000 |
B | 1,000億 | 20% | 20,000 | 15,000 |
C | 500億 | 10% | 500 | 5 |
D | 250億 | 5% | 800,000 | 0 |
E | 250億 | 5% | 1,000 | 800 |
F | 200億 | 4% | 20,000 | 1,800 |
自社がメーカー・一次卸・二次卸など、どの立ち位置にいるかを伝え、流通構造をお互いに把握する。
メーカー直に近いほど、より良い条件(価格など)で提供できる優位性を提示します。
自社の売上構成比(どのメーカーの売上構成が高いか)を提示し、自社がどのメーカーや商材に強みを持っているかを把握してもらう。
価格交渉は基本的に「指し値」では受け付けておらず、相見積もりの形式を取ることが多いです。
競合他社より価格が高い場合は、以下の点を考慮して提案します。
ロット数・販売数:競合が1本で売っているなら、10本のロットで提案するなど、販売数やロット数で条件を差別化する。
納期:価格が多少高くても、納期を短縮できる(例:当日配送体制が整っている)場合は、売上アップにつながるため採用のチャンスがあります。
商品提案の際は、通販会社側が用意したエクセルのフォーマットに商品情報を手入力(転記作業)で記入する必要があります。また、ネット通販においては、商品画像(手で取るような感覚で情報がわかるもの)も非常に重要な要素となります。
バイヤーと中長期的な信頼関係を築くためには、以下の点が重要です。
スケジュールと約束の順守:どのメーカーのSKUをいつまでに提案するかというスケジュールを立てて、その通りに提案する。
積極的なコミュニケーション:スケジュールが守れなかった場合でも、連絡を途切れさせず、コミュニケーションを取る。
有益な情報と新しい提案:挨拶ではなく、「法改正の情報」や「他社が取り扱いを始めた情報」といった有益な情報、またはスケジュール外の新しいメーカーの提案(「100SKUをいつまでに提案したい」など)を定期的に行う(2週間に1回〜1ヶ月に1回程度)。
返信が遅い理由:バイヤーは非常に多忙で、毎日6時間商談をしたり、膨大なSKUの管理と新規採用を行っているため、メールには目を通しているものの、登録作業に時間がかかり、返信まで1ヶ月程度待っていただくケースも多いです。せっつかずに程よい距離感を保つことが推奨されます。
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