公正取引委員会が令和7年6月に公表した「生成AIに関する実態調査報告書ver.1.0(概要)」は、急速に成長する日本の生成AI関連市場において、「公正かつ自由な競争環境」を維持し、「更なるイノベーションを生み出す」ための競争政策上の考え方を整理したものです。
市場が黎明期にありながら流動的な状況を踏まえ、本報告書はアジャイルかつ迅速な方法で実態調査を行った結果をまとめたものであり、競争上の懸念が顕在化する前に、独占禁止法上の考え方を整理し、今後の調査継続と情報更新の方針を示しています。
生成AIは、ビジネス革新や生産性向上、多様なサービスの提供など、経済・社会に大きな便益をもたらすポテンシャルを秘めています。
生成AIには、知的財産権等の侵害、偽・誤情報による社会混乱といったリスクが存在しますが、公正取引委員会は特に競争政策上の観点からの潜在的なリスクに注目し、調査を開始しました。
公正取引委員会は、生成AI関連市場を以下の3つのレイヤーに整理し、それぞれの競争環境を分析しています。
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レイヤー |
主な構成要素 |
競争環境と課題 |
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アプリケーション |
生成AIを活用したサービス(テキスト、コード、画像、動画、音声生成など) |
多様な事業者が参入し、競争が激化している。既存のデジタルサービスとの機能統合やAIエージェントの登場により活用が進む。 |
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モデル |
生成AIモデル(基盤モデル(FM)、大規模言語モデル、分野特化型モデル等) |
汎用型LLMの開発は資本力・技術力が豊富な企業が優位。国内企業等は、他社モデルを利用しつつ、日本語性能の強化や特定用途への特化で差別化を図る。技術革新(マルチモーダルAI、効率化技術など)次第で競争構造が大きく変化する可能性。 |
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インフラストラクチャー |
計算資源(GPU等)、データ 、専門人材 |
計算資源(GPU)はNVIDIA製が主流(約80%のシェア)で、学習段階の競争は活発。データは汎用型で大量、特化型で高品質が求められ、日本語特化型モデルの開発には高品質な日本語データの確保が重要。専門人材はビッグテック企業が優位だが流動性も存在。 |
情報・意見募集の結果、特に競争上の懸念として意見が寄せられた「アクセス制限・他社排除」と「抱き合わせ」について、独占禁止法上・競争政策上の考え方が整理されました。
公正取引委員会は、これらの考え方を踏まえつつ、引き続き市場の動向を注視し、実態調査を継続していく方針です。
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