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日本の製造業「デジタル敗戦」とスマートマニュファクチャリング

作成者: Yosuke Iseki|25/09/26 9:46

日本の製造業「デジタル敗戦」とその対策として経産省が提唱しているスマートマニュファクチャリングについて解説します。

「デジタル敗戦」とは

デジタル敗戦とは、日本では光ファイバー網や携帯電話などの通信インフラが普及している一方、コロナ禍でそのインフラを適切に使い切れなかったことを指します。具体的には、液晶パネル、DVDプレーヤー、カーナビなど、エレクトロニクスを中心として様々な製品で日本企業は“技術で勝ってビジネスに負ける”状況が発生していると指摘しています(※『製造業を巡る現状と課題今後の政策の方向性』(2024年5月、経産省)参照)。

次の原因が指摘されています。

  • 自前主義による過度にカスタマイズしたオンプレミス型のシステムへの投資とそのレガシー化
  • 「強い現場」に任せた現場起点のシステム導入/刷新を進めた結果、全体最適ではなく部分最適に陥っている
  • DX推進人材の確保·育成ができていない
  • DX検討の進め方·手法といったノウハウが社内にない

スマートマニュファクチャリング構築ガイドラインとは?

デジタル敗戦とその原因を踏まえ、経産省は『スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン』を今年6月に発表しました。「スマートマニュファクチャリング」とはデータとデジタル技術を活用して、自社内のマニュファクチャリングに関する各チェーンを横断して最適化を図ること。すなわち、デジタル技術を媒介としたデータを活用し、マニュファクチャリングチェーンの様々な意思決定と制御を加速させる取組み、を指します。

マニュファクチャリングチェーンの全体像

ガイドラインでは「誰に·どんな製品·サービスを提供するか」という事業単位の構成を定める「全社戦略」、各事業の競争優位実現の方向性を設定する「事業戦略」を基に、ものづくりのプロセス全体を構成する4つのチェーンを変革(全体最適化)し、その変革を促す仕組みまで含めたスコープを設定することが推奨されています。

サービスチェーン上の「変革課題」

高い技術力がありながら、顧客ニーズを適切に満たせていない、あるいは顧客に価値を届け切ることができていない現状を踏まえると、サービスチェーンの変革が非常に重要です。ガイドラインではサービスチェーンの取り組むべき領域は4つに分類されています。

サービス情報の提供·顧客認知度向上に関する具体的な課題

商品·サービス情報の流通やシステムの現状と課題はデータ及びマスタがバラバラであり、商品·サービス情報の97.5%はデジタル化されていないことにあります。

カタログAI解析で商品マスタ自動作成

monolystは紙カタログ、エクセルなどをAIが解析し自動で商品マスタを作成します。これまで2時間かかった商品登録·デジタル活用が5分で完了します。また、手元にあるデータ、今いる人材でDXを推進できます。さらに、エンジニアリングチェーン、サプライチェーンとも柔軟にシステム連携できるため、部分的にはじめ、ゆくゆくは全体最適を目指すことが可能です。