エクセルを用いて工業製品の商品情報管理を行う際の難しさについて詳しく解説しています。
エクセルでの商品情報管理においては、まず管理できる行数と列数に制約があります。
具体的には、2007年以降のバージョンのエクセルでは、行数:1,048,576 行、列数:16,384 列(A ~ XFD)、古いバージョンでは、行数:65,536 行、列数:256 列(A ~ IV)が上限となります。
工具商では複数メーカー合わせて10万〜数百万商品を取り扱うため、エクセルではその地平に早晩達してしまいます。
また、ある時点からファイルが極端に重くなり、場合によってはファイルを開くことができなくなります。
あるカテゴリの商品は直径、全長、溝長といった属性情報。別のカテゴリでは、縦、横、高さという属性情報。こんなことはよくあります。そのため、1シートで商品情報を管理しようとすると、ヘッダー項目名が横にずらっと伸びていき、関連しない商品の値は空となります。
フィルターで該当商品を絞ったとしても、列は自動で値が入った列だけ絞られることはないため、空白の多い表となります。
自社ECや通販サイトの商品登録フォーマットに流し込もうとすると、加工が必要なため多くの手間が発生します。
商品ごとに代表画像、寸法図を紐づけようとすると非常に煩雑な運用が求められます。よくある管理方法は2つあります。
1つは画像名の列をヘッダ項目として作成し、画像ファイル名をそこに記入していきます。関連画像が複数ある場合は画像名の列が複数横に並びます。画像自体はイントラサーバーに別途保管しておく必要があるのと、ファイル名に品番名と末尾に連番を振る必要があり、工数がかかります。
もう1つの方法はクラウドサーバーに保存した際に取得できるURLを画像名の列に記載します。このやり方では、すぐに該当の画像に遷移することができますが、商品ごとの関連付けの手作業自体は残ります。
エクセルでは最新版がどのファイルかが分からなくなったり、複数名で同時に編集できなかったりバージョン管理が難しいです。
また、同じカテゴリの商品に対して、ヘッダ項目名が表記揺れをし、無秩序にヘッダが項目が増え、どこかのタイミングでエクセルを更新しなくなります。
さらに、cmはヘッダ項目に入れ、値にはcmを含めない、などの入力ルールが担当ごとにバラ付きが出てしまい、データの一貫性が失われるリスクがあります。
自社の販売管理システムや在庫システムなどとの自動連携ができず、手入力やコピー&ペーストが増えてしまいます。