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BtoB商社の新たな勝ち筋:モノからシステムへ、AIで広がる第二の収益軸

この記事では、BtoB商社の新たな勝ち筋としてモノのみならずAIに関連したシステムを提案することで、いかに第二の収益軸を確立するかについて解説します。

1. はじめに:モノを売るだけでは限界が見え始めている

BtoB商社・卸売業の多くは、膨大な商品点数と仕入ネットワークを強みにしてきました。しかし、ここ数年はネットの台頭によりその優位性が急速に薄れています。さらに、取引先企業のデジタル化が進む中で、単なる“モノの中継者”では存在意義が問われる時代です。

今後の商社に求められるのは、商品取扱量を増やすだけでなく、「顧客の業務課題を一緒に解決できる存在」へと進化すること。その鍵となるのが、モノの周辺にある業務システムの販売・導入支援です。

2. 「システム販売」という新たな収益軸

システム販売とは、販売管理や在庫管理、受発注、PIM(商品情報管理)など、取引先の業務を効率化するソフトウェアを商社自身が販売代理店として扱うモデルです。これにより、商社は「モノを売るだけ」から「業務を変える存在」へとポジションを高められます。

商社にとってのメリットは大きく、1)ライセンス販売による安定収益、2)導入支援・保守による継続収益、3)顧客データの把握による営業効率化が挙げられます。特に既存顧客との信頼関係を活かせるため、新規開拓よりもスムーズに販売が進む点が強みです。
つまり、システム販売は“第二の卸ビジネス”であり、商社が顧客の業務のインフラ部分に食い込む新たな勝ち筋なのです。

3. 具体例①:販売管理システム・PIMの代理販売モデル

たとえば、販売管理システムやPIM(商品情報管理)システムを代理販売する商社が増えています。顧客である製造業・施工業・小売業は、見積・受発注・在庫・カタログ管理といった業務をデジタル化したいと考えています。

商社がこれらのシステムを紹介し、導入支援まで行うことで、単なる「仕入先」から「業務パートナー」へと関係が深化します。さらに、PIMと連携することで商品情報を効率的に管理し、ECやカタログ更新のスピードが上がれば、結果的にモノの販売にも好影響を与えます。

たとえば、工具商社が「monolyst」などのPIMを取り扱い、自社商品マスタ連携を提案する事例は、卸×ITの典型的成功パターンです。

4. 具体例②:Web受発注・AI解析ツールの取り扱い

もう一つの有力分野が、Web受発注・AI解析ツールです。多くの製造業や建設業では、依然としてFAXや紙伝票での発注が残っています。商社がこれをデジタル化できる仕組みを提供すれば、業務効率化だけでなく取引データの可視化も可能になります。

たとえば、「受発注ポータル+AI OCR解析+在庫連携」の仕組みを提案できれば、顧客はFAX業務を削減し、商社は受注データを自動で取り込めるようになります。これは単なるIT導入ではなく、商社がサプライチェーンのデジタルハブを握るという構造変化を意味します。

「AIによるFAX注文解析」「EDI連携」「Web受発注システム販売」を組み合わせる動きは、まさに次世代型卸の象徴です。

5. 具体例③:既存の販売商品に関連するデータ解析ソフトの販売

すでに国内でも商社がSaaS分野に踏み出す動きが見られます。たとえば山善は、設備管理や図面管理の「ゲンバト」を開発・提供しています。

さらに、測定機器商社がAI解析ソフトウェアを販売する事例も注目されています。たとえば、各種センサや検査装置を扱う商社が、画像認識AIやデータ解析ソフトを組み合わせて販売するケースです。

現場では「測定データをどう活用するか」が課題となっており、AI解析の提案によって商社は“機器を売る会社”から“データを活かす会社”へと進化できます。これにより、装置販売後の継続的なライセンス収益と、顧客の業務改善支援という二重の価値を実現しています。

つまり、「商社×SaaS」モデルは、モノと情報の両輪で利益を積み上げる再現性の高い仕組みなのです。

6. 立ち上げのステップ:商社がシステム販売を始めるには

まず、顧客課題と親和性の高いSaaS領域を選定します。たとえば、販売管理・PIM・Web受発注・AI OCR解析・AI解析など。次に、信頼できるSaaSベンダーと提携し、商社自身が販売代理店となります。

立ち上げ時に重要なのは、「システム販売の責任者」と「導入サポート人材」の確保です。社内教育を通じて、営業担当がシステムの基本構造と顧客メリットを理解することが成功の鍵になります。

また、モノ販売とセット化した「DX提案営業モデル」を設計すれば、既存取引先へのクロスセルが容易です。たとえば「新しいカタログ+受発注システム導入」で、顧客の購買環境全体を刷新できます。

7. まとめ:取引のデジタルハブを握る商社が次の勝者に

DX時代のBtoB商社にとって、勝負の鍵は“情報の流れ”を押さえることです。これまで商社が握っていたのは「商品流通」でしたが、これからは「情報流通」と「データ接点」です。

システム販売を通じて顧客の業務基盤に入り込むことで、商社は単なる中間業者から“業務DXのパートナー”へと進化できます。モノとシステムを一体で提案し、デジタル商流のハブとなる商社こそが、次の時代の勝者となるのです。

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